進撃の巨人 Wiki
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巨人とは、『進撃の巨人』の世界に存在する概念である。巨大な人間のような外見をしており、各個体によって後述する様々な特徴をもつ。本作は主に、この「巨人」という概念の存在に対し人類がいかに向き合い、戦い、悩み、苦しみ、進んでいくのかという形式で展開される。

個々の巨人については、進撃の巨人 巨人一覧を参照のこと。

概要[]

巨人の存在は、紀元前約1000年頃にユミル・フリッツ光るムカデと接触したことに端を発する。彼女の子孫にあたる「ユミルの民」に遍く遺伝した特質「巨人の力」は、特定の条件を満たすことで「道」を通じて巨大な人型の肉体を発生させ、本人がこれに転化するという性質を持っており、これが「巨人」である。

巨人はその巨躯から古来より開拓や建設、そして軍事に利用され、これが凄惨な歴史と運命・選択を人類に強いることとなった。

特徴[]

巨人には大きく分けて「無垢の巨人」「九つの巨人」(知性巨人)の2つの状態がある。

無垢の巨人[]

詳細は「無垢の巨人」を参照

後述の「九つの巨人」の力を持たない一般のユミルの民は、巨人化薬(巨人の脊髄液)を、皮下注射や気体の吸引、経口などの手段で摂取することにより「本人の意思とは無関係に」激しい発光ののち「無垢の巨人」へと転化する。無垢の巨人は明確な知性を持たず、一般に人間を捕食によって殺害することを目的として行動するが、座標を掌握した始祖の巨人および王家の血を継承する九つの巨人継承者はこれに命令を下し、操ることができる。なお、前者のほうが命令精度は高く、より詳細な命令が可能である。また、目の前の人間を優先して襲撃することなくより集団の中央に向かうなどの特異な行動をとる個体を「奇行種」と呼ぶことがある。

無垢の巨人の体長は3~15mである[1]。体温は不可解なほど高く、元の人間の性別にかかわらずほとんどが男性的な体つきをしている。非常に印象的な点として同じ表情を常に浮かべており、諫山は「人が一瞬だけ浮かべる面白い表情を最大限に強調して描いている」と言っている[2]。活動には基本的に日光以外の要素、空気や食糧など、を必要とせず、高い肉体修復力を持つ。

唯一の弱点として、うなじにある「縦1m・横10cm」の領域を損傷すると身体の修復をすることなく絶命し、蒸気を発して骨含め完全に消滅するため、巨人を排除するには大砲や立体起動装置などの手段によってここを破壊する必要がある。これはハンジによれば、巨人化する前の人間の肉体(脊髄)に該当する何かが(明確に器官として存在しているわけではないが)存在しているためであると推定されている。

九つの巨人[]

詳細は「九つの巨人」を参照

ユミルは無垢の巨人ではなく、自分の意思によって巨人化およびその解除が可能であった。ユミルの死後、フリッツ王はその力を失わんとするため三人の娘(マリアローゼシーナ)にその脊髄を食わせた。これによりその力はまず3つに、そしてその後詳細の経緯は不明だが、おそらく同様のことが行われ、自分の意思によって巨人化する能力は9つに分かれた。この九つの巨人の力は、無垢の巨人となったユミルの民がその力を保有する人物を捕食し脊髄液を摂取することによってそのユミルの民に継承される[3]。九つの巨人には自発的な巨人化能力のほかに、一定の特徴・特性・特殊能力が存在し、互いに区別される。座標を掌握する能力のある始祖の巨人、未来の継承者の記憶を受動的に関知することのできる進撃の巨人、60mに達する巨大な体躯を持ち、その筋肉を意図的に蒸発させ爆風を発する能力をもつ超大型巨人硬質化に特化した能力を持ち、その全身が薄い硬質化の装甲に覆われた鎧の巨人、女性のような体つきと、脊髄液の摂取による他の九つの巨人の特殊能力に関する高い発現性をもつ女型の巨人、獣のような体毛と、継承者ごとに異なった動物の形質を生かすことのできる獣の巨人、俊敏な運動力と、一般の硬質化を損傷させるほどの強靭な顎と爪を持つ顎の巨人、特色ある4足歩行による武装可能性、そして2か月を超す高い作戦継続能力を持つ車力の巨人、硬質化を自由に操り、様々な構造物や非常に硬質な水晶体を構築する能力を持つ戦鎚の巨人がある。

無垢の巨人の弱点であるうなじには、九つの巨人の場合本体である人間の肉体が、他の肉部分とは明確に区別された存在として位置しており、継承者はこの場所から神経組織を通じてその巨人体を自在に操ることが可能である。ただし、巨人化の経験が浅い場合はこの限りでなく、理性を失って本能的に行動したり肉体が部分的に一体化したりすることがある。無垢の巨人同様の身体修復能力を持ち、さらに巨人化中か否かに関わらず自身の肉体に対しても通常の人間よりはるかに高い身体修復能力をもつが、自身の身体修復中は巨人化することができない。

また、九つの巨人を継承したものは、継承から13年で死亡する(ユミルの呪い)。

歴史[]

紀元前約1004年、エルディアの部族の襲撃を受け奴隷となったユミル・フリッツは家畜の豚を逃がした罪で矢や猟犬に追い立てられ、森へと逃げ込んだ。そこにあった一本の木の洞の中の穴に足を滑らせた彼女は光るムカデ(有機生物の起源?)と接触し、「巨人の力」を得た。その後彼女はエルディアの族長フリッツ王にその力を持って奴隷として仕え、土地の開拓や軍事進攻を行い、マーレを筆頭に多くの部族との戦争にて敵軍を蹂躙し勝利に導いた。

彼に仕えて13年目のある日、エルディアによって侵略された部族の代表が王に謁見を行っていた際に、地面に隠してあった槍を王へと投げ、叛逆を図った。ユミルはこの槍を王の代わりに肩に受け、彼を庇ったのであったが、王は「起きて働け 我が奴隷ユミルよ」と言い放ち、ユミルは失意の中生きる気力と身体の修復を手放しそのまま死亡した。

王はエルディアが巨人の力を失うことを拒み、ユミルとの間に設けさせた3人の娘に母の脊髄を食わせてその力を継承させることに成功し、以来エルディアは巨人の力を以て紀元737年までの1700約1700年の間覇権国家として君臨した。この間に多くの民族がラーゴの惨劇などに代表される巨人の力を用いた武力侵略を受け、854年時点の世界人口の3倍の人命とその文化・歴史が巨人の殺戮によって失われたとされている(「この世に真実など無い」ため、当然マーレなどによる歴史の歪曲や脚色がある可能性は否めないので、その実態は不明であるが)。

敵のいなくなったエルディア帝国では、始祖以外の8つの巨人を管理する8家による内戦(巨人大戦)が開始(750年頃)する。自国の暴力に塗れた歴史と同族同士の醜い内戦に心を痛めた135代目フリッツ王カール・フリッツは、戦鎚の巨人を管理するタイバー家と画策し、一人のマーレ人へーロスを英雄に仕立て上げ活躍させ、7つの家を同士討ちにすることで巨人大戦を終結させた。エルディア帝国は解体し、タイバー家の権限下にマーレが復興した。この際、始祖と進撃を除く7つの巨人はマーレの勢力下に置かれた。

巨人大戦を終結させたカールは、凄惨な侵略の歴史を歩んできたエルディア人に、再び世界が報復を行うまでの束の間の時間に、そうした侵略思想から切り離された平和を過ごさせるため、一部のエルディア人を連れてマーレ大陸北東のパラディ島へと退き、彼らの侵略の記憶を抹消し三重のに囲まれた王国を築いた。

マーレはタイバー家の権限下にありながら、タイバー家は事実上その運営をマーレに委任したため、残されたエルディア人は収容区での生活と歴史的遺恨からくる激しい差別を強いられた。以降の100年間、巨人の力はマーレの軍事力に転用され、7つの巨人、ないし一般のエルディア人を強制的に巨人化させた無垢の巨人を以てマーレは超軍事国家として君臨し、マーレ大陸およびその周縁の地域まで広がる巨大な勢力圏を築いた。

なおこの間、マーレは反逆罪などの重罪を犯したエルディア人を「楽園送り」と称してパラディ島で巨人化させ、フリッツ王政の封じ込めを図った。作品初期から中期にかけてエレン達が人類の存続を脅かす巨人として認識していたのは、主にこれらの無垢の巨人である。

しかし巨人の力を背景にしたマーレの覇権も、時代の変遷とともに次第に陰りが生じる。巨人の力を持たない各国では、マーレの脅威に対抗するべく軍事技術の発展に注力したためである。こうした動きを一早く認識したマーレは、こうした変遷にも対応すべくパラディ島に眠る大量の化石燃料、および無垢の巨人を完全に掌握するという高い戦術価値を持つ始祖の巨人を手に入れるべく830年頃に7つの巨人の継承者の育成を開始し、845年、始祖奪還作戦としてライナー・ブラウンアニ・レオンハートベルトルト・フーバーマルセル・ガリアード(鎧・女型・超大型・顎)の4人をパラディ島に派遣し、壁内への潜入と始祖の奪還を命令した。王家(レイス家)の出方を窺い、混乱に乗じて壁内に潜入するべくシガンシナ区の外門・内門は破壊される。しかし奇しくもこうした刺激により、保守的だった壁内の情勢は変化、調査兵団による革命により平和を希求した壁内王政は崩壊し、850年のウォール・マリア最終奪還作戦ではマーレの派遣した4つの巨人を破り、壁内人類は再び世界の記憶を知ることとなる。始祖奪還作戦の失敗はマーレに敵対する諸国の勢いを加速させ、850年~854年のマーレ・中東連合戦争では負けこそしたものの善戦し、巨人がすべてを支配する時代の終焉が世界へと示された。

壁内人類はエルディア国として再び人類史の舞台に現れ、それぞれの生存と尊厳をかけて、巨人の力を巡る人類の命運は加速してゆく。ジーク・イェーガーは反マーレ派義勇兵およびヒィズル国を擁してエルディア国に接近し、抑止力としての始祖の巨人、すなわち地鳴らしの発動条件を保持しつつ、世界各国と並び立つ軍事力を構築する提案をもちかけるが、その真意はエルディア人の自然絶滅による安楽死計画により巨人の脅威とそれにともなうエルディア人を含むすべての苦難の排除であった。エルディア国自身は、ジークの提案に乗り軍事的抑止力の元発展する方法と、世界各国と和平を結ぶことでそうした脅迫的圧力を用いることなく新たな平和的体制を築く方法との間で揺れることとなる。

一方でエレン・イェーガーは、進撃の巨人の力によって各継承者が向かってきや未来である地鳴らしの実行に向け、フロック・フォルスターなどのイェーガー派にその真意の一部を伝えて秘密裏に協力を仰いだ。レベリオ区の祭事においては地鳴らし発動までの猶予を作るべく、調査兵団を半ば強制的に動員して軍上層部を襲撃、さらにマーレの持つ九つの巨人の一部を簒奪しようと試みラーラ・タイバーを殺害し戦鎚の巨人の獲得に成功し、一般市民にも多数の犠牲を出した。パラディ島に帰還した後は兵団本部に拘束されるが、イェーガー派の協力によりジークとシガンシナ区にて逢着することに辛くも成功。

時を同じくして、マーレ軍はライナーの危惧に従い地鳴らしを挫き始祖を奪還するべく連合軍を組織してパラディ島を急襲した。イェーガー派およびジークの脊髄液入りワインを飲み換金されていた兵士等および始祖、獣との戦いの結果、あと一歩のところでジークとエレンの接触の阻止に失敗、地鳴らしが発動する。

発動した地鳴らしは世界中の多くの命を犠牲に進んでいったが、エレンがそれぞれの人間の行動選択権を奪わずにおいたことで最終的にはミカサやアルミン、アニやライナー他多くの人物のそれぞれの選択によって地鳴らしは停止する。ミカサが自身の意思に基づいてエレンの命を絶ったことにより、ユミル・フリッツの精神的呪縛が解放され、巨人の力は消滅する。

巨人の力が消滅しても依然として人類から争いを無くすことはできなかったが、巨人の力にまつわる人々の行動と選択は人類史に刻まれ、それ以降の人類による「森から出ようとし続ける」活動の一助となったことであろう。

脚注[]

  1. 例外的に、スピンオフである悔いなき選択に20m級の無垢の巨人が登場したことがある。
  2. https://febri.jp/topics/shingeki_interview/
  3. 脊髄液の摂取の際に殺害する必要があるかは不明だが、九つの巨人の脊髄液を摂取すると本人が死亡していない場合その巨人の能力を一部発現させたり、あるいはその巨人の影響下に置かれる無垢の巨人となる効果が存在していること、および作中で継承者を殺害せず継承が行われた例が一度もないため、殺害は必要条件である可能性が高い
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